おいしいチェリーのいただきかた☆
 
小宮だ。
 
  
グラウンドのトラックを走る運動部の部員達。二列の隊列を作って、威勢のいい掛け声と共にざっくざっく進んでる。
 
その中に、白い柔道着を着た集団があって。
 
列の最後尾にいるのは、あのダサイ茶色のメガネをかけてるのは、間違いなく小宮だ!
 
  
「なんで放課後一緒に帰ろうとしないか、分かって良かったじゃん。声かけに行くんでしょ? ごゆっくり~」
 
麻美は手をひらひらさせながら教室を出て行った。
 
うう。声をかけたいって思ったの、なんで分かんの?
 
あたしも急いで筆記用具をしまい、グラウンドへと駆けだした。
 
 
 
真っ赤に染まったグラウンドに出ると、ちょうど小宮達はランニングを終えたところだった。タオルで汗を拭きながら移動する部員達。
 
こっそり後をつけると、彼らは『空手部』の看板を掲げてる建物に入って行った。
 
 
空手部に入部したんだ、小宮……。
 
 
なんでいきなり?
 
って疑問の答えは、こないだのケンカしか思いつかない。
 
まさか小宮、イツキに仕返ししようとか思ってるんじゃ……。
 
でも小宮とイツキじゃ、根本的に体の造りが違うよ。ムリムリ。
 
ちょっと空手齧ったくらいで敵うわけないって!
 
 
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