おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「比奈さん……ごめん、嫌な気分にさせちゃったんだね。こないだもみっともないところ見せちゃったし……顔を合わせ辛かったんだ」
 
小宮はそう言いながら、いまだ電信柱に寄り添うあたしの元にやってきた。
 
「僕が体を鍛えようと思ったのは、確かにこないだのことがキッカケだけど、それは不甲斐ない自分が恥ずかしかったからで……。比奈さんのこと嫌いになったとか、そんなこと全然ないよ」
 
あたしを安心させようと優しく微笑んでくれる小宮。
 
店の明かりが横から照らしてるせいか、いつもより大人びて見えてドキッとした。
 
「ホントに、怒ってない……?」
 
「比奈さんに対しては怒ることなんてこれっぽっちもないよ。むしろ力のない自分にイライラするっていうか……」
 
あたしの目の前で頭を垂れ、小さくため息を洩らす。
 
再び顔を上げた小宮の目は、どこか遠くを見ていた。
 
真剣な瞳。
 
 
「……もっと、強くならなきゃ、って思ったんだ。大事なものを守るためには……」
 
 
吸い込まれそうな色に、思わず惹きつけられる。
 
いつから小宮、こんな男っぽい表情するようになったんだろ。
 
 
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