おいしいチェリーのいただきかた☆
  
麻美と教室の前で別れて、一人、屋上に向かった。
 
重い扉を開けると、一気に風がなだれこんできてブルッと身震い。
 
四月の屋上はまだ寒い。
 
せっかくのふんわりポニテがくしゃくしゃになる~っ、と心の中でブツブツ文句言いながら目を閉じて外に出た。
 
 
 
 
「浜路さん」
 
 
  
弾んだ男の声が聞こえて顔を上げる。
 
そこにいたのは、茶色い縁のメガネをかけた男子。
 
ひょろっと細くて背はまぁまぁ。
顔は優しげで、第一印象は悪くない。
 
でもその古臭いメガネはいただけない。
 
えーと、どっかで見た顔なんだけど、どこだったっけかなぁ……。
 
 
  
 
  
「あ」
 
 
 
 
思わずポン、と手を打った。
拍子に声も出た。
  
 
  
昨日、お昼に目が合ったメガネ男子!
 
てゆーかクラスメイトじゃん! 気付けよあたし!
 
 
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