おいしいチェリーのいただきかた☆
  
「比奈……ノートに穴開くよ……」
 
呆れ目の麻美があたしのノートを見て突っ込んだ。
 
あたしはノートから突き刺さったシャーペンを引っこ抜いて、ごまかし笑いを浮かべた。
 
「あはははっ。バインダー式にしようと思ってっ」
 
そうそう。丁度バインダー式欲しかったんだよね、うん。
 
「バインダー持ってないじゃん」
 
後で購買で買ってこよう。あたしはパタンとノートを閉じた。
 
席を立って教室を出る。行き先はトイレなんだけど。
 
 
ちょうどその時小宮も教室から出てきて振り返ったあたしと目が合った。
 
 
 
「……小宮もトイレ?」
 
「うん」
 
「一緒に手を繋いでく?」
 
「えっ。トイレの前まで? 白い目で見られちゃうよ」
 
大丈夫。あたしがもう白い目で見てるから。
 
有無をいわさず小宮の手を掴む。
 
「ちょっ! 比奈さんっ!」
 
いつも通り赤くなる小宮。反応は相変わらずだ。あんだけ女の子に囲まれても慣れてないんだね。
 
少しホッとした。
 
 
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