おいしいチェリーのいただきかた☆
「……あたしも期末の範囲で教えて欲しいところがあるんだけど」
並んで歩く小宮を横目にもごもご言うあたし。その先はぐっと呑みこんだ。
『だから、お昼はあたしと一緒にいて』
ヤキモチ焼いてるみたいじゃん、そんなの。彼女でもないのに図々しい。
みっともない独占欲。お気に入りのオモチャを取られた子供か、あたしは。
落ち着け落ち着け。落ち着けってのに。
「いいよ。放課後、一緒に勉強する? 部活が始まるまでだけど」
「お昼……」
「うん?」
「……なんでもない……」
危ないところでなんとか口を閉じた。
ウザイ女、とか思われたらヤだ。あたしはサバサバ系でいくんだもん。
でも指が勝手にいじいじしてしまう。ううっ。
と、小宮がふいに明るい声をだした。
「そうだ、比奈さん。お昼、食べ終わったら花壇見にいこうよ。朝顔がキレイに咲いてると思うんだ」
「え?」
「放課後は勉強だから、お昼でいいかな?」
「でもさっき、お昼に約束してなかった? 女の子達に数学教えるって……」
「ん? あれ、聞いてたの? 解き方まとめたメモ渡すだけだからすぐ済むよ」
「ホント!? すぐ終わる!?」
「うん。最近比奈さんと公園行ってないから。和みの時間が欲しいんだ。平日も、比奈さんがよければ、たまに裏庭の花壇を見に行きたいな」
和みの時間!? あたしと一緒の時間、和んでくれてるんだ、小宮!