おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「行く行く! あ、麻美も誘っていい? 麻美も花好きなんだよ!」
 
ついはしゃいで言うと、くすっと笑う小宮。「いいよ」と快く承諾してくれる。
 
それからふと思いついた顔で、
 
「あ、そうだ。今週末、バラ園にでも行こうか。夏の花が見所の時期だよ」
 
 
「行くぅぅ~~~~っ!!」
 
 
思わずがばっと抱きついた。
 
 
  
「うわっ! ……比奈さん、突然すぎ。僕にも心の準備ってものがあるんだから……」
 
「えへへ、ごめーん。でも心臓が鍛えられるでしょ? これも修行の一環! なんちゃって」
 
「ご指導ありがとうございます……。もうちょっと時と場所を選んで欲しいけど」
 
あ、そういえば廊下だった、ここ。ぱっと離れるあたし。
 
「……でも、おかげで最近、分かったことがあるんだ」
 
「え? なに?」
 
キョトン、と見上げる。真っ赤になった小宮の顔。今はメガネ無しなんだ。
 
セクシーな目元だな~、なんて思ってると。
 
つい、っと顔を寄せてきた小宮が、あたしの耳元に囁いた。
 
 
「比奈さんに抱きつかれると湧きあがってくる、むずむずするカンジ……。これ、『嬉しい』ってコトなんだね」
 
 
えっ!?
 
 
う、嬉しい? あたしに抱きつかれて?
 
 
 
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