おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「小宮、あの、えっと」
 
 
あたしはイツキと小宮を交互に見比べた。
 
どうしよう。また険悪なムードになっちゃったら。
 
小宮の表情がちょっと険しくててますます焦る。小宮でもこんな顔することあるんだ。
 
凛々しくなった素顔の小宮が眉をしかめると、ちょっと迫力。瞳の鋭さにドキッとする。
 
 
「よう、小宮。この間は悪かったな」
 
でも予想に反して、小宮を振り返って頭を下げるイツキの態度は柔らかかった。
 
 
あれ? 仲直りムード?
 
 
「いきなり殴っちまって、本当にすまなかった。なんなら同じ分だけ殴ってくれてもいい。俺でできる侘びなら何でもするよ」
 
イツキの態度は随分殊勝なものになっていた。
 
本当に反省してくれたんだ。その男らしい態度に胸がじぃ~んとする。
 
 
だけど、小宮の表情は和らがなかった。
 
 
 
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