おいしいチェリーのいただきかた☆
「別に、もう気にしてませんから。頭を上げてください」
気のせいか、言葉にもどこか棘がある。
どうしたんだろう。今度は小宮がらしくなくなっちゃった。
やっぱりあんだけ殴られたんだもん。すぐに許すのは無理な話なんだよね、きっと。
「そうか。ホントに悪かったな」
「気にはしてませんが、比奈さんとどこか行く時は僕がついていきます。僕も比奈さんのお友達と仲良くなりたいですから」
へ?
いきなりナニ言いだすの、小宮。
なんであたしの友達と仲良くしたがるの?
突然の意味不明な言動に目をぱちくりさせるあたし。
ふっとイツキの顔が笑った。
「分かったよ。これから仲良くしような、小宮。比奈と遊ぶ時はお前も連れてけばいいんだろ? ――ナイト様」
ポン、と小宮の肩を叩いて横を過ぎていくイツキ。
一瞬、小宮と視線を交わしたようだった。
それから振り返ってあたしへの挨拶か、軽く手を上げる。
「じゃ、また今度な、比奈」
そう言うイツキの口調はいつもの軽い調子で。あたしも「あ、うん、またね」と手を振り返した。