おいしいチェリーのいただきかた☆
 
人とお喋りするのは楽しくて好き。
 
お酒も今は飲めないけど、多分好きになれる。
 
エッチも、キャバ嬢は体を売る仕事じゃないから、したい人とすればいいんだし。
 
人と接するのが好きなあたしの天職だと思うんだけど。
 
あたしに足りないものって何なんだろう?
 
みんなは何であたしをコドモ扱いするんだろう?
 
 
ミルクと砂糖たっぷりのコーヒーは甘いはずなのに、ほろ苦い気持ちが湧いてくる。
 
 
ふいに小宮があたしを見て言った。
 
 
「比奈さんの、小さい頃の話を聞いてもいい?」
 
「へ? 小さい頃?」
  
なんでいきなり?
 
目をぱちくりさせる。
  
「もっと比奈さんのこと知りたいなって思ったんだけど……駄目かな?」
 
 
ドキッ
 
 
そ……そういうイミシンなコト言っちゃダメだよ小宮。
 
最近鼓動がオーバーヒート気味なんだから。高血圧が慢性化しちゃうじゃん。
 
天然クンはさりげなくて困る。
 
 
「べ、別にいいけど。大して面白い話じゃないよ?」
 
「そう? 比奈さんのことだから、面白い武勇伝がいっぱいありそうなんだけどな」
 
「うんうん昔からアホだったから……ってなんだとコラッ!」
 
 
じゃれあって笑うあたし達。
 
 
それから少しずつ、あたしは昔を懐かしみながら語り始めた。
 
 
 
 
 
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