おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「確かに、ママが仕事に行っちゃう夜は、家に一人だから淋しかったかな。でもお父さんが欲しいなんて思ったことないなー。そのうち友達もいっぱいできて淋しくなくなったし。友達の家で一晩中ドンチャンしたり、毎日賑やかに暮らしてるよ」
 
 
そしていつのまにか夜が嫌いじゃなくなってた。
 
友達と遊べる夜は、楽しみにさえなっていた。
 
 
「誰かと一緒に寝るとあったかくて気持ちいいんだよ。小宮にもこの気持ちよさが早く分かるといいのにね」
 
にこっと笑って言うと、小宮は不思議な顔であたしを見つめ返した。
 
「比奈さん……君は……」
 
「ん?」
 
訊き返すけど、喉が詰まったように黙り込む小宮。
 
その顔は言葉にならない気持ちが溢れてる顔で。あたしのよく知ってる誰かと重なった。
 
 
誰? 
 
 
こんな感じの顔、誰かがよくしてた。
 
悲しげに見つめる瞳。何かを語りかけようとする光。
 
切なそうで、でも優しい表情――
 
 
 
ああ――――ママだ。
 
 
ママが時々あたしに向ける顔。あの顔に似てるんだ――――
 
 
 
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