おいしいチェリーのいただきかた☆
 
あはは。笑っとけ、あたし。 
 
なに言っちゃってんの小宮。あたしはもう淋しくなんかないもん。
 
ママがいて、いっぱい友達がいて、この店の人もみんな優しくて――
 
 
淋しいなんてあるわけないじゃん。
 
淋しいなんて言ったらバチが当たるよ。こんなに恵まれてるのに、あたし。
 
 
そう思うのに、何故か視界が潤んできて。
 
気付けばあたしは小宮にしがみついていた。
 
 
なんでだろう。
 
この涙はなんなんだろう。
 
どうしてあたしは泣いてるんだろう。
 
 
どうしてこんなに――胸が苦しいんだろう。
 
 
 
 
――ママ。泣かないでママ――
 
 
 
『ごめんね比奈……淋しい思いさせてごめんね』
 
『やだな~。別に淋しくなんかないよママ』
 
 
だからそんな顔しないでママ。
大丈夫。笑ってるでしょ、あたし?
 
遊んでくれる友達いっぱいいるし。
 
毎日楽しくて幸せだし。
 
部屋にはぬいぐるみがたくさんあって。 
とってもにぎやかだよ?
 
だから安心して、お仕事行ってきて。
 
もう寒いなんて思わないから。
 
ぎゅーってあっためてくれるヒトだっているんだから。
 
 
あたし、淋しくなんかないよ、ホントだよ?
 
 
淋しくなんか。
 
 
淋しくなんか。
 
 
笑いながら呑みこんだ言葉――
 
 
 
 
 
『いかないでママ。そばにいて』
 
 
 
 
 
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