おいしいチェリーのいただきかた☆
 
不思議な安心感に包まれて、いつしか涙は止まっていた。
 
それでもまだ浸っていたかったけど。
 
 
耳元に囁かれる声が、あたしの意識を現実に戻してしまった。
 
 
「比奈さん……。ずっと、言えなかったことがあるんだ。今まで自分に自信がなくて……」
 
 
歯切れの悪い切り出しのセリフ。
せっかくあったまった胸がすっと冷えた。
 
 
「言ったらこの繋がりすらなくなっちゃいそうで、怖かったんだ。……あんな僕の言葉から始まって……。何度も後悔した。だから比奈さんの友達に友達面するなって言われた時も、何も言い返せなかったんだ」
  
 
あたしはハッと顔を上げた。
 
 
「あたしの友達って……イツキのこと? そんなこと言ったのイツキ?」
 
「気にしないで。それはもういいんだ。言われても仕方ない、って思ったし。僕がハッキリしなかったからいけないんだ」
 
 
ハッキリって……どういうこと?
 
また胸の奥にもやもやが生まれる。
 
肩をぐっと掴んで真剣な顔で見つめてくる小宮。
 
嫌な予感がした。
 
 
「比奈さん。正直に言うよ。僕は……」
 
 
どくん、と視界が揺れた。
 
 
「僕は、比奈さんが――」 
 
 
 
 
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