おいしいチェリーのいただきかた☆
 
すっと血の気が引いた。
 
喉が詰まる。
 
 
あたしはカノジョでもなんでもないし。
小宮はあたしのモノじゃない。
 
 
暗転する周囲の景色。胸にもやもやが広がっていく。 

 
……さっき言いかけたこと。聞かずにすんだけど、きっと近いうちに言われるだろう、と頭をよぎる。
 
あの話はなかったことに……って。
 
 
十中八九。言われる気がする。
 
 
胸が痛い。
 
考えたくない。なのに思考が止まらない。
 
 
……もし、そう言われたらきっと、あたし達はただの友達になって。
 
今まで通り小宮は接してくれるとは思う。誰にでも優しいヤツだから。
 
そしていつか、小宮にはカノジョができるよね。
 
今の小宮ならカノジョになりたいってコは沢山いるから、その気になればきっとすぐにできる。
 
あたしは友達としてそれを祝ってあげなきゃいけないんだ。
 
初体験はカノジョと。ごく当然の話。
 
あたしとのことは忘れて。
 
小宮はカノジョの肩を。
 
あのあったかい胸で。
 
 
抱いたり――――
 
 
 
 
 
 
……抱いたり、するのかな。
 
 
 
 
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