おいしいチェリーのいただきかた☆
  
笑いながら言うと、なんでだか小宮君の瞳が揺らいだ。
 
一瞬目を伏せ、複雑そうな顔をする。
 
 
「ん? やっぱやめとく?」
 
あんまり乗り気じゃないのかな?
 
「あ、いえ、是非っ! 是非お願いしますっ!」
 
と、突然条件反射みたいに立ち上がる小宮君。
 
あまりに勢いが良かったのであたしの顎にぶつかるかと思った。
 
「ぼ、僕なんかとじゃつまらないと思うけど、精一杯頑張らせていただきますのでよろしくお願いしますっ!」
 
ビシッと直立した後、ナナメ四十五度の綺麗なお辞儀。
 
軍人さんの敬礼ポーズとか似合いそう。
 
 
  
「そんなに固くならなくていいよ。あたしのことは比奈でいいし。あたしもコミヤって呼び捨てにしていい?」
 
「あ、はい! ……じゃなくて、うん。どう呼んでもらっても」
 
「下の名前なんだっけ?」
 
「啓介(けいすけ)。小宮啓介」
 
 啓介、啓介、っと。オッケー。インプット完了!
 
「じゃ、小宮。これからよろしくね、小宮」
 
 
すっと手を差し出しながら言った。
 
 
うん、仲良くやっていけそう♪
 
 
その姿勢のまま数秒待つ。
 
 
 
……あれ?
 
 
 
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