おいしいチェリーのいただきかた☆
 
って、なに考えてんの! したいに決まってるじゃん!
 
 
あたしが欲しいのは体の温もりなの!
 
エッチで繋がれば体も心も満たされる。あたしはそれだけでいい。
 
 
小宮が欲しいの。今だけでも欲しいの。
 
ずっと傍にいてなんて望まない。男の人はいつか離れてく。
 
お父さんでさえ、離れていった。あたしを置いて――
 
 
だから一晩でもいいんだ。これっきりの仲になっても――
 
 
 
ひいてしまった体の熱を取り戻そうと小宮の背中を抱きしめた。
 
あたしの胸に顔をうずめる小宮。ふと気付く。
 
動きが止まってる――?
 
 
「どうしたの、小宮……?」
 
 
不安になって訊くと、小宮の顔が上げられた。
 
苦しそうに寄せられた眉。憂いを含んだ睫毛。
 
それからぎゅっと結ばれた唇が開いた。
 
 
「ダメだ……。やっぱりできないよ」
 
 
 
な――――
 
 
 
「なんで……?」
 
 
声が震えた。
 
 
 
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