おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「ごめん比奈さん。僕が最初に言ったこと、取り消すよ」
 
 
目の前が真っ暗になる。
 
 
「あれは僕が本当に言いたかったことじゃないんだ。なんとか比奈さんの足を止めたくて、咄嗟に出た言葉なんだ。今までずっと騙しててごめん……」
 
 
「なんで今更……」
 
 
涙が滲んだ。心臓がぎゅっと絞られたみたいに苦しい。 
 
 
「勇気がなくて、今まで言えなかったんだ。でも、もうこれ以上黙ってるなんてできない。僕には比奈さんを抱くことはできないから……」
 
 
「なんでできないのっ!?」
 
 
頭にカッと血が昇った。身を起こして小宮の胸を力一杯叩く。
 
その途端、心の奥にあった不安が、もやもやが、一斉に噴き出して溢れた。
 
 
「ウソでも最後まで突き通せばいいじゃんっ! そんなにあたしとするのがイヤなの!? ホントはあたしのコト嫌いなんでしょっ!?」
 
 
勝手に口が叫ぶ。もう止まらない。 
涙が言葉と一緒にポタポタと零れた。
 
 
小宮は最初からあたしとエッチする気なんてなかったんだ。
そんなのとっくに気付いてた。
 
 
小宮はあたしのことなんて。あたしのことなんて――
 
 
 
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