おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「こ、小宮が、あたしをスキ? ドッキリじゃなくて? ホントに? あたしを、すき、すきって」
 
 
隙をつくとか鋤で突付くとか。そういうのじゃないよね、うん。
 
あははは。スキってどう書くんだったっけ。
てゆーかコンランしてる、あたし?
 
 
 
「ご、ごめんっ。突然変なこと言って! よ、要は謝りたかっただけで。告白とか、そんな場面じゃないよね!」
 
 
言い切った後に恥ずかしくなってきたのか、カーッと赤くなる小宮。
 
えっと。今どんな場面なんだっけ? 
さっきまでナニ話してたんだっけ?
 
あたし、泣いてたんだじゃなかったっけ?
 
 
「こ、こんなこと、いきなり言われても迷惑だよねっ。だからどうしたって感じだよねっ! ごめん、比奈さん。告白は忘れていいから! 比奈さんが特定の人と付き合う気はないって知ってるから僕っ!」
 
 
勢いよく立ち上がってあたしから離れていく体。
 
あは。あははは。どっかで聞いたようなセリフじゃない、それ? 
 
またおんなじテンパり方してるよ小宮。あはは。
 
 
「ホントにごめんね!」
 
バタバタと服を掴んで走り去ってく音がする。背後でドアが閉まる。
 
 
追いかけたいけど、体が動かなかった。
 
完全に力が抜けちゃって、ぺたんと座り込んだままボーッと宙を見つめてた。
 
 
< 274 / 335 >

この作品をシェア

pagetop