おいしいチェリーのいただきかた☆
 
二人は一階に降り、渡り廊下の方に向かって行った。
 
イチョウのベンチに並んで腰掛け、もじもじしながら話してる。
 
あたしはその様子をこっそり廊下の出口から見守った。
 
 
こっからだと二人の横顔と背中しか見えないけど、恥ずかしそうに赤らんでるのは分かる。
 
間違いない。小宮はあのコに告白されてる。
 
見るからに清純そうな女の子だ。黒い艶やかな髪に楚々とした仕草。上田さんみたいな、女の子らしくて可憐なタイプ。
 
純な小宮と、凄く良く似合ってる……。
 
 
 
「あぁ~ん。鮎川さんに先越されたかぁ~」
 
突然、後ろから声がしてドキッと振り返った。
 
数人の女子が立っている。
 
「鮎川さん可愛いもんね。悔しいけど小宮君は諦めるかぁ~。鮎川さんなら小宮君とお似合いで納得ってカンジだし」
 
どうやら小宮を狙ってたコ達らしい。丸聞こえの大きめな声。
 
残念そうなぼやきにズキン、と胸が痛んだ。
 
確かに二人はお似合いだ。
 
 
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