おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「比奈さん……」
 
「あたしと小宮じゃ世界が違うっしょ? あたしみたいな遊び人とはもう縁を切って、小宮は小宮の道を行きなよ。――小宮はまだ、キレイなんだからさ」
 
 
目を見開く小宮。
 
 
 
「比奈さん、それって……。誰かに何か言われたの?」 
 
「やっぱり知ってたんだね小宮。あたしの噂」
 
 
……これで納得できた。これまで小宮が取ってきた行動の数々。
 
 
その途端、何かが堰を切って溢れ出した。
 
 
「もう……いいから。もう、庇ってくれなくていいからっ」
 
 
声が震えながら大きくなる。ダメだ。我慢できない――
 
 
 
「もう、優しくしてくれなくていいから! あたしに近付かないでっ! あたしなんて――」
 
「比奈さ」
 
 
「あたしなんて……そんな価値のある女じゃないんだからっ!!」
 
 
 
とうとう言ってしまった叫びは、空気を引き裂いた。
 
 
 
 
< 301 / 335 >

この作品をシェア

pagetop