おいしいチェリーのいただきかた☆
  
ホントにあたしってバカだ。
 
 
言わなくてもいいことまで言って。小宮を戸惑わせて。
 
もっとキレイにサヨナラできたはずなのに。
  
 
バカ、バカ、バカ――
 
 
 
 
胸が苦しくて涙が止まらない。
 
 
どうしよう。どうしたら笑えるんだろう。
 
 
どうしたら明日から、笑って「おはよう」って言えるのかな?
  
 
どうしたら――――
 
  
 
  
「比奈」
 
 
その時。
 
 
校門に立ってた人影が、駆け抜けようとしたあたしを呼び止めた。 
 
聞きなれた心地良い響きに、自然と止まる足の先にいるその人は。
 
 
シニカルな笑み。獣の眼差し。夜の仲間。
 
 
あたしと同じ世界の住人。
 
 
「イツキ――」
 
 
 
 
 
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