おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「い、痛いよイツキ」
 
「お前が変なこと言うからだ。なんで嫌がんだ? 気持ち良けりゃいいって、いつも言ってたじゃねぇか。楽しいことが好きだって」
 
 
そう言われると一瞬心が揺れる。
 
そうだよ。楽しめばいいじゃん。気持ち良くなれるんだから――
 
 
   
――違う。
 
 
 
あたしは何を迷って。
 
  
 
――全然違う。
 
 
 
イツキとエッチなんて何度もしてきたのに。
 
 
 
――気持ち良さが、違う。
 
 
 
 
「できない……。分かんないけどできないよ」
 
 
心の底で叫ぶ何かがどんどん頭を混乱させる。
 
どうしても首を縦に振れない。
 
 
「そんなこと言ったの初めてじゃねぇか。どうしたんだ? アイツに操でも立ててんのか?」 
 
棘を持ち始めたイツキの言葉にギクッと体が強張った。
 
「ア、アイツって?」
 
「小宮だよ」
 
予想通り、今一番聞きたくない名前が出てきて涙が滲みそうになる。
 
 
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