おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「あたしなんて、立てる操もないよ……。小宮とはもうサヨナラしたし」
 
「そっかそっか、いいんじゃね? アイツとは切れて正解だよ。俺達なんかとは違って優等生サマだかんな」
 
 
嬉しそうなイツキの言葉に胸が疼く。
 
「ちょっと変わってて面白かったから付き合ってただけ……そうだろ?」
 
 
そうだ。最初は確かに、面白いと思ってた。
 
やる事なす事ちょっとズレてて、スレたところがなくて。
 
天然なところが面白かった。
 
恥ずかしがるのが可愛くて……純なところに癒されて。
 
お気に入りの男友達。ただそれだけだったのに。
 
 
 
いつからなんだろう――――
 
  
 
涙がポトリと落ちた。
 
 
 
「おいおい。泣くほどかよ? んな深刻になんねぇで、気楽にいこうぜ? お前のいいとこは物事を深く考えないところだろ?」
 
 
そうだ。悩んだってつまんない。楽しくいこう。
それがいつものあたし。
 
 
小宮のことをいつまでもくよくよ悩んでるなんて、あたしらしくないよ。
 
あたしらしくない。
 
 
そう、分かってるのに……。
 
 
「大体あんなお堅い優等生と、俺らみたいなちゃらんぽらんが釣り合うわけないだろ? 住んでる世界が違うんだよ」
 
ズキン
 
「さっさとあんな奴のコトは忘れて、こっちはこっちで楽しもうぜ? いっぱい気持ちよくしてやっからさ――」
 
 
気持ちよく……なれるはずなのに……。
 
 
クイッと引かれる手に感じる違和感。
 
 
瞬間、ぞくっとしたものが走り――
  
 
 
  
『違うっ!!』
 
 
 
 
 
頭の中で、何かが弾けた。
 
 
 
 
 
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