おいしいチェリーのいただきかた☆
 
驚きに息を止めた一瞬、僅かに振り返る小宮の瞳があたしを捉える。
 
そしてまたイツキに視線を戻し、
 
 
「汚れてるとか、汚れてないとか、何を基準に言うんだ? そんなのは、見る人のただの主観だよ。今まで何人と寝たとか、僕には関係ない。比奈さんは綺麗だ」
 
 
耳に響く凛とした声。
 
 
小宮――
 
 
「自分の境遇を嘆いて捻くれたり、卑屈になったりしないで明るく生きてる。真っ直ぐひたむきに前を見てる。僕には眩しいくらいに純粋で、綺麗なんだよ、比奈さんは」
 
 
小宮。
 
 
小宮。
 
 
胸がいっぱいで。泣きそうだよあたし。
  
 
どうして小宮っていつもそうなんだろう。
 
 
もうっ!
 
 
「小宮っ!」
 
 
たまらずがばっと背中に抱きついた。
 
 
同情なんかじゃない。嘘なんかじゃない。小宮はいつでも真っ直ぐだ。
 
だからこそ小宮の言葉は嬉しいんだ。
 
ありがと、小宮。
 
こんなあたしを綺麗って言ってくれて。
 
大好きだよ!
 
 
 
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