おいしいチェリーのいただきかた☆
「っ!」
まさかかわされるとは思ってなかったんだろう。
イツキの顔が驚きに変わる。
でもそれも一瞬のことで、すぐに気を持ち直したイツキの反対の拳が小宮の頬を打った。
「小宮っ!」
入りは浅かったけど、イツキのパンチは強烈だ。
たまらずよろめいて膝を折る小宮。メガネがカランと地面に落ちた。
「大……丈夫……。平気だから……」
顔を覗きこもうとするあたしを手で制しながら、小宮は荒く息をついた。
そんなこと言ってもすごい汗。無茶だよ小宮……。
「へぇ……咄嗟に身を引くたぁ、少しはやるようになったじゃねぇか。鍛えた甲斐があったな」
小宮を見下し、ニヤリと哂うイツキ。
「……じゃあこういうのはどうだ? 俺を一発でも殴れたら比奈を連れて帰らせてやるよ。敢闘賞ってヤツだ」
なっ――
不敵な態度で言うイツキをあたしはキッと睨みあげた。
小宮がまだ空手始めたばかりなのを分かって言ってる、あれは。
どうしてそこまで――