おいしいチェリーのいただきかた☆
「ダメだ。ソイツは再起不能にしてやらなきゃ気がすまねぇ。いちいち俺のカンに障るんだよ。弱いくせに生意気そうな目も。分かってる風なクチの叩き方も――」
小宮から手を放して立ち上がり、勇気を振り絞ってイツキに足を向ける。
「それは、小宮が分かってるからだよ」
「っ! 比奈さん、危ないから下がってて!」
「ヤだ」
ごめんね、小宮。あたしを心配してくれるのは嬉しいけど。
後ろから腕を引く、小宮の手を振り払って前に出た。
「……何をだよ」
あたしを睨むイツキの険しい目を、真正面に受けて立つ。
あたし、今までちゃんと見てなかった。イツキのこと。
大事な友達なのに。イツキの痛みを分かってなかった。
ごめん、イツキ。
あたし、バカで、鈍感で、イツキを止める力もないけど――
「自分の言葉に、イツキが一番痛がってるってこと」
守りたい。
「っ! ……比奈。つまんねぇこと言ったらいくらお前でも殴るぞ! そこをどけっ!」
「どかない! 怖くないよ、そんな脅し。だってイツキにはできないって分かってるもん!」
守りたい。
二人を――小宮を、イツキを守りたい!