おいしいチェリーのいただきかた☆
何があったかなんて、きっとイツキは教えてくれないだろう。
真面目な話は、冗談で誤魔化しちゃう奴だから。
だから、イツキの傷を知ることはできないけど――――だけど、なんとなく、分かった気がする。
イツキは、あたしと同じものを持ってるんだ。
暗い部屋の隅でうずくまってた子供時代――――その記憶を共有する仲間。
でもあたしとイツキは違う。あたしにはママの愛があった。
イツキにはなかったんだろうか。
大事にしてくれる人が。愛してくれる人が。
いなかったんだろうか。
あたしとイツキはしばらくじっとお互いの目を見つめ合った。
長い、長い、沈黙の後。
「…………ちっ。随分クサイ女になっちまったな、お前」
あたしから視線を逸らし、諦めたような呟き声でイツキは言った。
どこか淋しげな横顔――