おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「その気になれば、誰とでも友達になれるって、僕は思ってる」
 
「だぁぁ~~さぶいっ! どこまでもキモイ奴だなてめぇはっ!」 
 
 
さすがのあたしも苦笑しちゃう小宮の言葉に、ぶるっと肩を震わせるイツキ。
 
本当に鳥肌立ってそう。
 
うん、小宮ってこういう奴なんだよ、イツキ。
 
あたしも負けてらんない。言いたいことは言っとかなきゃ!
 
 
「イツキッ! また、クラブに行くから! またみんなで一緒に遊ぼ?」 
 
「はぁ? お前にゃソイツがいんだろ?」 
  
眉をひそめるイツキに、にこっと笑って返す。
 
 
「うん。でも友達は友達だから!」
 
 
イツキは一瞬、なんともいえない表情になった。
 
それからふいっと前に向き直る。
 
 
「……バーカ。来ても遊んでやんねーぞ」
 
 
ボソッと呟いた答えは、ぶっきらぼうだけどあったかくて。
 
それはいつものイツキの口調だった。
 
胸がじんわりして、何故だか泣きたい気分になる。
 
 
それ以上は何も言わずに歩き出すイツキ。あたしはその背中を笑顔で見送った。
 
 
悪いけどイツキ。あたし、友達やめるつもりはないから。
 
またみんなでバカやってはしゃごう。
 
淋しいなんて、感じる暇もないくらいに。
 
 
人ゴミの中に紛れた後ろ姿は、完全に消えてしまった。
 
それでもまだ、余韻に浸っていたかったけど。
 
 
「比奈さん……僕らめちゃくちゃ目立ってるかも……」
 
小宮に言われてハッと辺りを見回すと、遠巻きに見守る野次馬の人だかりがちらほら……。
 
 
 
そういえばここ、往来のど真ん中だったぁぁ~~っ!!
 
 
 
 
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