おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「うひゃっ! に、逃げるよ小宮っ!」
 
大慌てで小宮の手を取り、一目散にその場を退散する。
 
「僕ら制服のままでこんな所にいて、お巡りさんに見つかったら補導されるんじゃないかなぁ?」
 
「それもあったぁぁっ!」
 
走る足は更にスピードアップした。
 
雑踏を掻き分け、ネオンから遠ざかり。
 
細い裏道に入って、人通りの少ない場所に向かう。
 
大きな川の河川敷にまで来て、ようやく足を緩めた。
 
 
 
「はぁ、はぁ……。ここなら大丈夫かな? あー恥ずかしかったぁ~」
 
土手に入って真ん中に座り込む。柔らかい草の絨毯にホッとした。
 
「結構スリルあったね。実は後つけてる時にさ、警官が巡回してるの見かけたからちょっとマズイかな~って思ってたんだ」
 
「いいっ!? そういうコトは早く言ってよ小宮ぁ~」
 
まったく度胸があるんだかないんだか……って。
 
 
そ、そういえば………………。
 
 
チラッと横目に小宮を見る。
 
 
「さっきのあたしとイツキの会話、もしかして……聞こえてた?」 
 
「えっ!? えーっと……」
 
 
あたしの質問の意味を察した小宮が瞬時に頬を赤らめる。
 
 
それってもう肯定したのと同じじゃん! 
 
うきゃぁぁぁぁっ!!
 
 
原っぱをごろごろと転げ回りたくなった。
 
でもさすがにそれはできない。代わりにうずくまって膝に顔を埋めた。
 
 
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