おいしいチェリーのいただきかた☆
  
デートでショッピングなんて、逆に気をつかっちゃって楽しめない。……かと思ってたけど、これが意外に楽しかった。
 
小宮はちっとも嫌な顔せず、あたしの買い物に付き合ってくれたし、「可愛いね」とか「こっちもいいよ」とか色々感想を言ってくれた。
 
二人でクレープを食べながら歩いて、ペットショップで子犬を撫でた。
 
可愛いニットワンピースを見てたら、「こないだのポニーテールに合いそうだよね」とちょっと照れながら言ってくれた。
 
 
  
およよよ? まったく女慣れしてないオタク系かと思ったけど、結構いいカンジじゃない?
 
  
小宮のイメージはガラッと変わって、「意外と話せるヤツ」に出世した。
 
 
 
  
「ねぇねぇ。このヘアバンドどうかな?」
 
「うん、可愛いと思うよ」
 
「小宮はこっちのなんてどう?」
 
「えっ!? 僕は男だからそういうのは……」
 
「ふっる~い! イマドキの男の子はお洒落でこういうの着けるんだよ。知らないの?」
 
 
アクセサリーショップで、髪飾りを物色しながら小宮をからかう。
 
真面目な小宮は「そうなの?」と眉根を寄せてヘアバンドを凝視する。
 
 
「試しに着けてみなよ」
 
 
あたしの言葉に恐る恐る水玉のリボン付きヘアバンドを頭に被る小宮。
 
神妙な顔つきで装着した後、店の鏡に映してみると、その顔はしかめっ面のハテナ顔になり、
 
「これ、お洒落なの……?」
 
確認するようにあたしを向く。
 
その頭を見て思わず噴き出しそうになった。

茶縁メガネにボサボサ頭が水玉リボン付きヘアバンドを……!
 
 
 
  
イカス――ッ!
  
 
 
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