おいしいチェリーのいただきかた☆
  
もうサイアク。せっかくの可愛いチュニックが汚れちゃう! 
 
お気に入りのニット帽も。濡らしたくない~。
 
 
 
「あそこ! ちょうど百円ショップがあるよ。傘買おう」
 
 
小宮はあたしを手招きしながら近くの百円ショップに駆け込んだ。
 
それから傘を2本買って、あたしに1本渡してくれる。
 
外に出て傘を差すと、
 
「雨降ってきたから今日はもう帰ろっか。付き合ってくれてありがとう、比奈さん」
 
 
「へ? 帰る?」
 
 
  
今、信じられない言葉を耳にした? あたし。
 
「うん、せっかくの服が濡れちゃうし」
 
「でもエッチは? 初体験は?」
 
当初の目的はどうしちゃったのか。
目をぱちくりさせながら訊いた。
 
「え!? えーと……」
 
途端、口ごもって視線が泳ぎ出す小宮。
 
どうしたんだろう?
 
訝しげにじーっと見てると、困ったような愛想笑いを浮かべた小宮が、あたしに視線を戻した。
 
 
 
「えっと……それはまた今度頼んでもいい? 僕、とにかく何もかもが初めてだから……服もこんなだし、次はもっとお洒落に気をつかってみるよ」
 
ハハハ、と顔を引き攣らせながら。小宮は駅の方に足を向けた。 
 
 
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