おいしいチェリーのいただきかた☆
「え? 行くって、どこへ?」
「そんなの決まってるじゃない~。いいからあたしに任せて! こっちこっち!」
未だ手が触れただけでガチガチに固まる小宮だけど、無理矢理握ればなんとか手を繋げるようになった。
でもやっぱり顔は真っ赤。
そのせいか小宮の手はいつも暖かい。
その手を引っ張って、有無を言わさず駅の反対側に移動。
こっちは遊び処の多いあっちと違って、そんなに賑やかな雰囲気はない。
数軒の飲み屋がある細い路地を抜け、目的の建物が姿を現す。
「えっ。まさか……」
そう、もちろんその「まさか」だ。
入り口の看板にある「休憩、宿泊」の金額を確認。
うん、お手ごろ価格。
「だって、最初からこれが目的でしょ?」
にこっと笑って言うと、小宮の顔が真っ赤になった。
頭からボンッて湯気出てきそう。
「服もビシッとキメたし、今日こそ初体験だよ!」
「で、でも、僕、今日はもうお金が……」
「貸しにしといたげるから」
「こ、心の準備もまだ……」
「そんな悠長なこと言ってたら一生チェリーのままだよ!」
手に篭めた力を一層強くする。