おいしいチェリーのいただきかた☆
  
「よく前が見えてなくて……すみませんでした」
 
「気を付けろよお前!」
 
 
ムカッ。アンタらが邪魔なのがいけないんじゃん!
 
 
 
ちょっと頭にくる場面だった。
 
数人の男子に責められて謝る小宮が可哀想。
 
あんなに気が弱いのに。
きっと何にも言い返せない。
 
助けなきゃ、と止まってた足を動かした。
 
でも彼らは短く罵った後、さっさと教室に戻って行ってしまったのだ。
 
むぅ。ヒトコト言ってやりたかった。
 
 
 
「小宮! そんだけ大荷物だと前が見えないのもムリないよ。あたしも手伝うから貸して。次の地理に使うんでしょコレ?」
 
あたしは荷物を持ち直そうとする小宮に駆け寄って地図のひとつを掴んだ。
 
「ありがとう比奈さん」
 
ぶつかった拍子にずれたのか、メガネを直しながらあたしを見る小宮。
 
あれ? 思ったより平気そう。
 
あんまり萎縮してる風じゃない。
 
 
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