おいしいチェリーのいただきかた☆
  
「ひ、比奈さんっ。ま、周りに……人が……」
 
 
ホント、瞬間湯沸かし器みたい。もう真っ赤だ、小宮の顔。
  
 
「そりゃ公園だからいるよ~。気にしない気にしない」
 
温かい手をにぎにぎしながら言う。
 
指先までガチガチに緊張してるのが分かる。
 
「自分から握れる?」
 
「……そんなの……」
 
声まで弱々しくなってく小宮。
 
うーん。いかにも無理っぽい。
 
「やっぱ、『手を繋ぐ』はレベル2ってところだね~。まぁ引っ込めなくなっただけマシかな」
 
 
こないだはちゃんと握り合えたんだけど。他のことに気を取られてれば大丈夫ってコトなのかな?
 
  
「じゃあ次は『見つめあう』いこっか」
 
「う……まさかこれ、全部試していくの……?」
 
「もっちろん!」
 
「後半……キス、とかって、あるんだけど……」
 
恥ずかしそうにノートに目をやりながら言う小宮。
 
「それはこないだ気絶されたから、もういいよ。できそうなヤツだけ、ね?」
  
安心させるように優しく返す。小宮は「良かった……」と肩を落とした。
 
 
「じゃ、こっちを向いて」
 
 
「いっ!?」
 
 
再び凍りつく小宮の横顔。さっきから百面相みたいで面白ーい。
  
 
 
< 86 / 335 >

この作品をシェア

pagetop