おいしいチェリーのいただきかた☆
「ほらほら。『見つめあう』だよ! あたしの目をちゃんと見て!」
「そ、それもこないだやったから、もういいでしょ?」
「ダメ! ちゃんとしたデートでできるようにならないと! ムードを盛り上げるには必要な項目なの! 目標は、正面から見つめあって1分だよ!」
言って、あたしから逸らされた顔をがっしと両手に挟んだ。
ホントは小宮が自分から顔を向けて欲しいんだけど、このままじゃ埒があかないし、あたしも気が長い方じゃないんだよね。
無理矢理あたしの方を向かせて顔を覗きこんだ。
「――っ!」
息を呑んでる様子が伝わってくる。
前髪長すぎ、小宮。目が半分隠れてる。
全体的に毛先も不揃いだし、一体どんだけ髪切ってないのやら。
一個一個のパーツは悪くないんだから、もっとちゃんとすればいいのに。
色々な感想が頭を流れる間、不安定に揺れる小宮の瞳をじーっと観察。
ちっともあたしに定まってくれない。
少しは落ち着け青少年。
あ、一人の場合は少年だけでいいんだっけ?