課長、ちゃんとしてください。
「ーーーー自己満足なんかじゃ、ありません」






あたしは思わず立ち上がり、課長にはっきりと告げた。





課長が「お?」と目を瞠る。







「課長の信念は正しいことだと思います。


だらだら仕事して無意味に遅くまで残るよりも、てきぱき済まして早く帰るほうが、みんなの健康と安全のためだと思いますし」







自分でも驚くくらい、すらすらと言葉が出てきた。





少し前までは、残業させない課長のことを、なんて不真面目な、なんて思っていたのに。




いつの間にかあたしは、課長の考え方に影響されていたらしい。





目を向けると、課長が嬉しそうに首を傾げて笑った。







「あべちゃんがそう言ってくれると、ほんとに嬉しいな〜」






「………それは、どうも」







あたしは辛うじてそれだけ答えて、仕事に戻った。






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