課長、ちゃんとしてください。
どきっとして、あたしはぱっと手を引っ込めた。




課長が目を見開いて、じっと見つめてくる。





なにか言わなきゃ、変に思われる………。





あたしは俯いて、ぼそぼそと言う。







「…………あたし、なんの取り柄もないから………。

要領悪いし、仕事も早くないし、頭も良くないし……。


だから、真面目にがんばるくらいしか、能がないんです。


………べつに、課長に気に入られようとか、媚うってるとか、そんなつもりは」






「こぉら、あべちゃん」






柔らかい声が、あたしの言葉を遮った。





目を上げると、課長が真剣な顔であたしを見ていた。







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