課長、ちゃんとしてください。
「あべちゃんは~、確かに、言いたいこと何でも言ってるように見えるけどー。

それは~、みんなのためのことだけでしょ~?

みんなが言いにくいこととかー、みんなのために言ってあげたほうがいいと思ったこととかー。

あべちゃんが言うのは、そういうことばっかりだも~ん。


でもー、あべちゃん、自分のことは、なぁんにも言わないんだも~ん」







まったく困った子だねえ、と眉を下げながら、課長はあたしの髪を撫でた。





あたしはといえば、予想外すぎる言葉に茫然として、ぽかんと口を開いていた。







「つらいとかー、いやだとかー、こうしたいとかああしたいとかー。

あべちゃんは、そーゆーことまったく言わないでしょ~?


だから、我慢しすぎ、って言ったんだよ~。


言いたいことは、言わなきゃだめ~」







課長は、幼子に言い聞かせるように言った。






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