課長、ちゃんとしてください。
その言葉を聞いた瞬間。





爪の先から足の先まで、全身の血が頭に昇ってきたように感じた。





熱くて息ができないくらい。




心臓が、今までの人生でいちばん、悲鳴をあげそうなほど激しく胸を打った。





鼻の奥がつんとして、目頭が熱くなる。





あ、また、泣いちゃいそう………。





あたしは慌てて俯こうとした。





けど、その前に、課長の手がぐいっとあたしの両頬をはさんで、顔を仰向かせた。







「泣きたいときも、泣かなきゃだめ~」







喉の奥から、う、と唸り声が洩れた。




引き絞られたように苦しかった。






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