課長、ちゃんとしてください。
「じゃないと~、こらえた涙が身体の中にどんどん溜まって~、自分の涙の海で溺れちゃうんだぞ~?」







課長がおどけた口調で言って、大きな掌であたしの目を押さえた。





その瞬間、あたしの涙腺はもう一度崩壊した。






ああ、せっかく泣き止んだのに。




必死で涙を止めたのに。






きっと今、ひどい顔をしている。




くちゃくちゃに歪んで、見苦しい顔。





こんな情けない姿、誰にも見せたことないのに。






課長が再び、長い腕であたしの身体を包み込んだ。







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