課長、ちゃんとしてください。
「俺が抱きしめててあげるから~、安心して泣きな~」







柔らかくて甘い声と、優しい微笑みに、あたしはゆっくりと満たされていくような感覚。






ほとんど無意識のうちに、あたしは課長の胸に耳を押し当てた。






――――とくん、とくん。





課長の心臓の音を聞いていると、なぜだか、涙はさらに溢れだした。





しかも、激しい動悸が、顔の紅潮が、まったくおさまらない。





苦しいような、嬉しいような、言葉にならない不思議な気持ち。







―――あぁ、あたし、変だ。




どこか、おかしくなっちゃったみたい………






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