課長、ちゃんとしてください。
「まだ6時半だよ〜。

あべちゃん早いね〜え」






並んで歩きながら、課長が首を傾げてあたしを見下ろしてくる。






「遅れたらいけないので、早めの電車に乗ってきました」





「さっすがあべちゃ〜ん」





「課長こそ、お早いですね」






あたしが言うと、課長はうふふと笑った。






「いやぁ、楽しみすぎて、4時前に目が覚めちゃったんだよね〜」





「………遠足の日の小学生ですか」





「あはは〜、小学校のときよりもー、今のほうが楽しみかな〜。

お仕事仲間と旅行なんてー、めちゃめちゃ楽しみだもんね〜」






いちおう嫌味のつもりで言ったんだけど、課長はあっけらかんと笑った。





こういうところ、すごいなと思う。




あたしの口の悪さも、課長にはまったく通用しないのだ。






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