課長、ちゃんとしてください。
*
「課長。お仕事中、失礼いたします」
「おーぅ、あべちゃ~ん。やっほ~」
―――気の抜けた声、とぼけた表情。
あたしの前でデスクにゆったりと腰かけ、頭の上で手を組んでへらへらと笑っている人物。
彼は、あたしの直属の上司である、五十嵐課長。
「どした~ぁ? なんかあった~?」
見ての通り、緊張感のカケラもない、ふざけきった人物だ。
なぜだか嬉しそうに首を傾げて見上げてくる課長のデスクに、あたしはあるものをばさりとを載せた。
午後の会議で配布する予定の資料だ。
「重大なミスを、5か所見つけました。
早急に、修正の指示を出すべきです」