課長、ちゃんとしてください。

「あたしは、自分の気持ちがなんなのか、インターネットや辞書で調べました。


その結果、あたしは、課長に恋愛感情を抱いている、という結論に至りました」






「…………え、ぇえぇ……っ」






課長は身を硬直させて、それきり口を噤んでしまった。





かこーん、と間抜けな音が響く。



庭のどこかに、鹿威しがあるらしい。




そこで初めて、あたしは周りの音も聞こえないくらい緊張していたのだ、と気がついた。





ふぅ、と息を吐いて気持ちを落ち着けてから、あたしは課長に向き直った。






「この際なので、言いたいことは全て言わせていただきます。


課長、できれば、あたし以外の人とへらへら嬉しそうに喋るのはやめてください。


まぁ、これはあたしの自分勝手な我儘なので、聞き入れてくださらなくても結構ですが」