課長、ちゃんとしてください。
「………ふざけてないで、真面目に話をしてください」





「あはは~、そうだったね~、脱線しちゃってスンマソン」







この「すんまそん」というのも、課長が多様する謝罪表現の一つだけど、まさか「すみません」と言い間違っているわけじゃないだろうな、と心配になる。






―――まぁ、いちいち忠告するのも面倒なので、謝罪表現くらいは受け流しているけど。





それくらいこっちが大人にならなきゃ、このお気楽課長とはやっていけない。







「で、なんのお話なんですか?」






「そうそう、あのねぇ~………」







課長があたしの耳許に小さく囁きかけてくる。





あたしはこそばゆさを必死に堪えつつ、『大事なお話』に耳を澄ませた。







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