課長、ちゃんとしてください。
―――そんなふうに言われると、無下に断るのも悪いかな、という気持ちになってしまう。





あたしは、ふう、と息をついて、「分かりました」と頷いた。







「やった~、ありがとあべちゃーん」







課長が嬉しそうに笑う。




お昼を一緒するのを了承しただけで、そんなに喜ばれると、こっちが申し訳なくなる。




しかも、あたしのほうがおごってもらう立場なのに。







「………こちらこそ、お声かけいただき、ありがとうございます。


ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願いいたします」







あたしがそう言って頭を下げると、課長は「ふはっ」と気の抜けた笑いを洩らした。







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