課長、ちゃんとしてください。
あたしは目を伏せて、テーブルの上に置いた自分の指先を見つめながら、「別に」と小さく言う。








「………大したことはありません。


ちょっと、自分の………噂話を、聞いた、だけです」








驚きのあまり、言うつもりもなかったことを、素直に口に出してしまった。





なんとなく、どんな顔をしていいか分からなくて、俯いたままでいると。







「ふむふむ、なーるほどね~」







課長が暢気な声で唸った。







「俺のねぇ、予想でいくとねー。


きっと、あべちゃんが真面目すぎるとかー、厳しすぎるとかー、そーゆーことをねー、言われちゃったんじゃないかと、思うんだけどね~」







まあ、もっとキツい言い方ではあったけど、概要でいうと図星なので、何も言い返せない。







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