課長、ちゃんとしてください。
あたしは愕然として、声もなく、ただ目を瞠って課長を見た。





課長の言葉の意味が、まったく理解不能だった。






あたしの驚愕と戸惑いをよそに、課長は相変わらずへらへらしている。







「ただの参考資料だからさぁ、ちょっと誤字脱字があるくらい、大丈夫さ〜。

それに、文章の意味が分からなくなるような誤字でもないし、ねぇ。

俺がその場で口頭で訂正お願いすればいいもんね~。


だから、そのまま配っちゃうよー。

資料の印刷しなおしたりしたら、資源のムダにもなるしねー、あはは〜」







…………信じられない。




間違いがあると分かっているっていうのに、正式な会議の資料として、たくさんの人の目に触れさせるっていうこと?






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