課長、ちゃんとしてください。
ひと段落ついたところで、目の奥がずきずきと痛むのに気がついたあたしは、ちょっと休憩しようと給湯室に向かった。





入り口から入りかけたところで、思わず足を止める。





………中から洩れてくる男女4、5人の会話の中に、あたしの名前が挙がっているのが聞こえたから。






「川瀬、お前もう帰るの?」





「おぅ、今日はデートなんだよ」





「仕事終わったのか?」





「阿部に丸投げしてやった」





「うわっ、悪い奴!」





「えー、川瀬さん、ひどーい」





「なんだよ、お前らだってよく阿部にやらせてんじゃん!」





「だってー、阿部さんなら彼氏もいないだろうし、仕事だけしてれば幸せ的な?」





「まぁな、クソ真面目で根暗で付き合いづれえけど、便利っちゃぁ便利だよなー」







………また、聞かないほうがいい言葉を、聞いてしまった。





あたしは静かに溜め息を洩らし、そのまもオフィスへ戻った。






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