課長、ちゃんとしてください。
―――定時の終業を知らせる放送が入る。




案の定、今日終わらせなければならない仕事は、まだ山積み状態だった。




残業するしかない。



あたしは覚悟を決めた。






本当は、月末には残業しないようにアナウンスされているんだけど。



監査を控えていることもあるし、他のみんなも残業する気満々で、誰も立ち上がる気配さえなかった。





誰も無駄話をする余裕などなく、カタカタとキーボードを叩く音が部屋を満たしている。



画面を食い入るように見つめるみんなの顔は、暗く沈み、鬼気迫るものがあった。





そんなふうにして、定時を三時間ほども過ぎたころ。






「あっれ~?」






まったく緊迫感のない声に、突如、沈黙が破られた。






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