課長、ちゃんとしてください。
「ふつう、そういうのって、部下に任せるものじゃないですか」






「ん〜、そっかな〜?

でも、俺が発案者だしねー。

それにほら、皆いま、忙しいでしょー?」







確かにそうだけど、それは課長だって同じはず。





現に課長は、こうして夜中まで残って仕事に追われているのだ。





いつも上手いこと手抜きをしている課長が、ここまで遅くなるということは、やっぱりそれだけ仕事が立て込んでいるんだと思う。






そこで、はたと思い当たる。





あたしは、課長が帰るのを、見たことがなかった。





あたしは仕事が遅いから、この部署の中でも帰りは遅いほうだけど。





それなのに、課長は、一度もあたしより早く帰ったことがない。






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